以前の記事で、
⇒真横に向いている埋伏した親知らずでも抜歯は可能?
⇒親知らず抜歯後に気をつけることとは?
で、傷を縫合する際には閉鎖をせず、さらに粘膜の下にドレーンを留置するという点について述べましたが、これらは術後の腫れと感染を予防するための処置です。
この結果、傷口は開いていて、なおかつ粘膜の下の血液や滲出液は口の中に排出されます。
従って、術翌日くらいまでは唾液に血が混じる程度に出血が続きます。
具体的には、5分噛んだガーゼに白い部分が残る程度、またはガーゼに真っ白い部分は残っていなくても、真紅ではなく薄くピンク色に染まる程度の出血です。
唾液を洗面台などに吐き出すと唾液に血が溶け込んで多量に出ているようにも見えますので、気になる場合にはガーゼを5分噛んでどの程度に血が染み込んでいるかを確認すれば良いでしょう。
「術後しばらくしてから出血が起こった」というお電話をいただく事もありますが、これは麻酔薬に入っている血管収縮剤の効果が切れて血管が広がったり、なんらかの原因で血圧や脈拍が上昇したりしてしまった事が原因であると思われます。
こんな時に不安を感じてしまうと血圧や脈拍が上がり、更に出血をうながしてしまいますので、まずは冷静に「5分噛んだガーゼに白い部分が残る程度の出血」は問題ないという事を思い出していただき、そして固く丸めたガーゼを強くしっかりと噛んでください。
ここで、ガーゼを固く丸めて強く噛むのはポイントです。
十分な圧迫を行うためには絶対必要な事ですのでよく覚えておいていただき、かつ実践していただきたいと思います。
そして5分経過したら一度ガーゼを出して出血の度合いを確認してください。
上に述べた事を繰り返せば、ガーゼに白い部分が残る程度、またはガーゼに真っ白い部分は残っていなくても、真紅ではなく薄くピンク色に染まる程度であれば問題ありません。
それでも心配な場合には更に10~15分間ガーゼを噛んで圧迫を続けてください。
術後に出血が生じた場合、十分な圧迫で止血できる事がほとんどです。
まずは冷静に、ガーゼを固く丸めて強く噛んで5分、その上で出血の度合いを確認するという事を実践していただきたいと思います。
それでもガーゼが真紅に染まって血がしたたる程に出血している、という場合には、止血処置が必要な事もありますので速やかに処置を受けたクリニックにご連絡ください。
口腔外科専門医
稲田 良樹
診療時間/10:00~13:00・15:00~20:00
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