真横に向いている埋伏した親知らずでも抜歯は可能?
私たち口腔外科医がよく訊かれる質問です。
以前の記事で、真横に向いている親知らずは感染症の原因となりうるので抜歯した方が良い、という内容のものがいくつかあったと思います。
と、言うからには当然抜歯できるという結論になります。
これだけで記事を終わらせるわけにはいかないので、ではどうやって抜歯するかについて、ちょっと詳しく述べてみたいと思います。
当法人サイトには「親知らず抜歯に関するご説明」のページを設けてあり、そこには術式が簡単に記載してありますので、これを詳しく述べる形にしたいと思います。
詳細は以前の記事で述べましたので省略します。
「はぐきを切るんですか?」と涙目の患者様からよく質問をいただきます。
確かに恐ろしいことかもしれませんが、繰り返しているように「親知らずを置いておく方が余程ひどいことになる」から怖いのを我慢していただき、抜歯させていただいております。
ただし切開から粘膜をめくって親知らずと骨がしっかり見えるようにする(剥離と言います)ところまでで麻酔が効きにくいということはほとんどありません。
親知らずと骨をしっかり視認し、安全かつ確実に抜歯をするために必要不可欠な術式です。
抜歯するためには、歯を取り出すためのすきまが必要になります。
このすきまが大きければ大きいほど抜歯しやすくなり、抜歯にかかる時間も短縮できます。
ただし、削れば削るほど腫れ、痛み、内出血など術後の不快事項がひどくなる傾向にありますので、骨を削除するのは最小限にとどめるように心がけております。
真横を向いている親知らずは手前の第二大臼歯に引っかかって身動きが取れないので頭の部分(歯冠)と根っこの部分(歯根)に分けてからでないと抜歯できません。
歯冠と歯根を分割し、まず歯冠部分を取り出します。
歯根だけになった親知らずを挺子(ていし)という機器を用いて取り出しますが、この際歯根の形によっては更に分割したり、骨を削ったりする術式を追加する場合があります。
切開した部分を縫合しますが、この時第二大臼歯の後方には穴が開いた状態になるようにします。
完全にふさぐように縫合してしまうと、抜歯後の腫れはひどくなり、感染する可能性は非常に高くなります。
逆に言えば腫れや感染をおさえるためには非常に重要なポイントになります。
処置の際にはこの点を説明しながら縫合するようにしていますが、事前の知識として覆えておいていただければ幸いです。
口腔外科専門医
稲田 良樹
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