冒頭から一言で片付けてしまえば、「抜くべき親知らずと診断されたら可及的速やかに抜歯するのが良い」です。以前の記事を引用します。
⇒親知らずはなぜ抜く必要があるのか?
よくあるのは歯根が先の方で曲がっているものですが、セメント質と呼ばれる歯根に付着する組織が年齢とともに増加し、歯根が太く丸くなっているものもよく見受けられます。
体質、年齢や炎症の状況で親知らずの周囲の骨の硬さは人によりさまざまです。
難しいもの:10日間程度
抜歯に時間を要する難症例では骨の炎症が強い事が多いため、抜歯後の痛みも強く長引きます。
このような場合では痛みを和らげるために傷口の保護を行うような処置を追加する事があります。
抜歯した方が良い親知らず=感染症を引き起こすもの、という事は最初の記事から徹底して述べておりますが、長く放置すればするほど感染症は進行し、骨の炎症は重症化します。
これに加えて、年齢とともに骨は硬くなり更に歯根の形も抜きにくいものとなります。
したがって、抜くのが後になればなるほど、抜歯する事が難しくなり、尚且つ時間も侵襲も増え、更には抜いた後の痛みも強く長引くようになる、という事になってしまいます。
私は患者様に説明する際、「親知らずは元本の減らない借金のようなもの」と例えてお話しするようにしています。
親知らず=元本がある以上、抜歯自体にかかる負担や時間や術後の痛みなど不快症状=利子や負担が増え続けてしまうのです。
要するに、親知らずを置いていて、良いことなど全くないのです。
強いて言えば、同じ侵襲でも若い人の方がより強く腫れるため、早くに抜けば抜くほど腫れが強い、という事はデメリットかもしれません。
しかしながら、短時間で抜歯できて術後の痛みも強くないけど強く腫れるというのと、抜歯に長時間かかって術後の痛みは強いけどあまり腫れないという二択、どちらを選びますか?私なら前者を選びますし、患者様にも前者を強くお勧めします。
ただし、いずれにしろ腫れが生じる事は避けられませんので、仕事上でもプライベートでも、お顔が腫れていては困る状況があれば、それを避けて可及的速やかに抜歯する、という事をお勧めしています。
抜歯の予約を取ってはいたが急用ができた、イベントが入った、などの事がありましたら、ご遠慮なく予約の変更を申しつけてくださって結構です。
無断でのキャンセルは診療上不都合なだけでなく、他の患者様にもご迷惑となりますので受診が不可能または困難と判断された段階でご連絡いただきますようよろしくお願い申し上げます。
口腔外科専門医
稲田 良樹
診療時間/10:00~13:00・15:00~20:00
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