親知らずを置いておく事で、手前にある第二大臼歯が障害を受けることは珍しい事ではありません。
当法人の患者様でも、親知らずのせいで第二大臼歯も一緒に抜歯せざるを得なくなった方はこの一年でも十人をくだりません。
以前と同じ内容を繰り返しますが、赤丸で囲まれた部分は一言で言えばバイ菌の巣です。
ここに住み着いた細菌が様々な感染症を引き起こす事は既に述べましたが、直接第二大臼歯に悪影響を与えるものとして、
1.虫歯
2.智歯周囲炎
が、あげられます。
まず虫歯ですが、赤く囲った部分は清掃が難しく、歯垢や歯石が付きやすく、虫歯になりやすい上、硬いエナメル質もないので虫歯も進行しやすく、更には根の深い部分まで虫歯になりますので、虫歯が発覚したときには既に抜歯せざるを得ない状況も珍しくありません。
次に智歯周囲炎ですが、炎症が広がり、骨を溶かしてしまうことがあります。
それが図の部分に広がると、第二大臼歯を支えることができなくなってしまいます。
そうなると、第二大臼歯も抜歯しなければならなくなります。
また極端でまれな例ではありますが、炎症が広がり、骨髄炎などを生じてしまうと更に前方の歯まで悪影響を受けてしまうこともあります。
私は術前の説明の際によくこう言います。
「親知らずを抜歯する目的の一つは、健康な第二大臼歯を守ることである」と。
そしてまた、こうもよく言います。「放置すれば第二大臼歯と親知らずの共倒れになりますよ」とも。
いずれにしろ、「抜歯すべき親知らず」を放置すれば、処置にかかる時間や負担も、その後の痛みや障害も、確実に悪い方に向かうという事です。
ご自身の親知らずがどのような状況か、気になる方は是非一度ご相談ください。
口腔外科専門医
稲田 良樹
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