人それぞれに個性があるように、親知らずにもそれぞれ個性があります。
いわゆる水平埋伏智歯と呼ばれる親知らずでは歯の上の面(咬合面と言います)が手前の第二大臼歯に接するような方向を向いていますが、この他にも内側(舌側)を向いていたり、逆立ちするように下の方を向いているものまでさまざまなものがあります。
上下的な位置、つまり歯が骨の深い部分にまで埋もれているものや比較的浅い位置にあるもの、また頬舌的位置、つまり親知らずが下あごの骨(下顎骨)の内側や外側のいずれかに寄っている場合もあります。
よくあるのは歯根が先の方で曲がっているものですが、セメント質と呼ばれる歯根に付着する組織が年齢とともに増加し、歯根が太く丸くなっているものもよく見受けられます。
親知らずの歯根の数は、通常下で1~2本、上で1~3本ですが、それ以上あるものもよく見受けられます。
体質、年齢や炎症の状況で親知らずの周囲の骨の硬さは人によりさまざまです。
上にあげた親知らずの個性により、抜歯にかかる時間は変わります。
数秒で終わるものから1時間かかるようなものまで、一言で言えば人により親知らずにより違う、ということになります。
大まかに言えば、
比較的まっすぐ上を向いて生えていて歯根が一本でまっすぐな形態でなおかつ骨が軟らかいなど、条件の良いものはこの程度になります。
水平埋伏智歯であっても、上の方にあって歯根の形態や骨の硬さに問題がなければ大体この程度の時間が必要です。切開や歯の分割、縫合などの術式が必要になるため、その時間の分長くなります。
上にあげた条件の内、いくつかがそろうと難しくなりますので骨を削ったり、歯を細分割したりする術式が増えます。そうなるとこれぐらいの時間が必要になる場合があります。
歯の位置が極端に深い場合や歯根が極端に太なっている場合、また歯の方向により抜歯器具が使いにくい場合など、特に難しいものでは30分を超す場合があります。
おおまかには以上のようになります。
冒頭で述べたとおり親知らずの個性で時間はさまざまに変わりますので、術前に大体の所要時間並びにその理由について説明した上で抜歯処置を行っております。
十分な説明の上、安心して処置を受けていただけるよう歯科医師だけでなくスタッフも努力しておりますのでご質問などありましたらご遠慮なくお申し付けください。
口腔外科専門医
稲田 良樹
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